歌声、歓声、楽器の響きが大地をゆるがし、天空にこだまする。


急に静かになったと思うと、どうやらお偉方のあいさつらしい。


知事さんが30分ぐらい、長々とこ演説。


どこの国でも、おカタい人間は長期戦がお好き。


だが、行儀にうるさい日本国とはちがい、ここはのんびりムードのニューギニア。


偉い人の話をまじめにくく耳などもってはいない。


ペチャクチャ隣近所のおしゃべりならいいほう。


大きくのびをしてのあくび、しまいにはゴロリと地べたで昼寝を始めるしまつ。



入口はおまわりさんまで出動して大混乱(入場料4キナ2200円)をとられて、そのあとがたいへん。


金が払えないやからが混雑にまぎれて密入国。


というのも、グラウンドのなかは外とはまるでちがう国へやってきたような感じ。


めいっぱいしゃれこんだ外野が文明国なら、グラウンド内はまるで原始の国。


全裸?と思いきや、ペニスケースをピョコピョコさせて、奇声をはりあげる集団。


大軍団をしつらえたいちばん凶暴なクククク族は、派手にデモンストレーションをかける。


有名なアサロ地方の泥人間が怪物のように近寄ってくる。


まっ黒にコールタールを塗りたくり、頭の上に火を放つ威勢のいいグループ・・・。


極楽鳥の羽飾りにうっとりとみとれていると、かわいこちゃんがふり返る。


あれっ、腰ミノばかりだと思ってボインを期待したら、なんとブラジャーをつけています。


観覧席の屋上から見まわすと、なんとも壮観。



シンシンとは各部族間で、いろいろな儀式や祝いごとのたびにおこなわれる伝統的な祭りのこと。


部族によって、衣装や踊り方はまったくちがう。


ニューギニアひろしといえども、同じシンシンは二つとない。


そのなかでもゴロカショーは毎年9月、3日間にわたっておこなわれる最大規模のもの。


旅行者のわたしには、一張羅などというご立派ななりは、バックパックをかきまわせど出てこない。


あいかわらずのルンペン・スタイル。


昼メシにと、サツマイモをゆでてショーグラウンドへとはせ参じる。


いったいどこからこんなに人が集まったのか。

いかにパプアニューギニアといえども、ゴロカあたりの都会では、なりふりかまわずといった原始人スタイルにはお目にかかれない、彼らはちゃんとバンツもはいているし、筋肉のついた脚にジーパンがとてもよく似あう短足の日本男児にくらべたら、見ばえのすることこの上なし。


あーあ、と溜息まじりに、ヨレヨレのジーパン姿のわたしは嘆いたもの。


ところがどっこい、じつはこの日は特別。


お祭りのため、みなさん、こぞって精一杯めかしこんでいたというわけ。


毎年、ニューギニア中央高地にあるゴロカとマウントハーゲンで交互におこなわれる"シンシン"の祭りは世界的に有名。


これぞまさに世界の奇祭の名に値する。


各地から集まった部族がユニークないでたちで、技を競いあうのだ。



『戦国自衛隊1549』


監督は原作本がぼろぼろになるまで読み込み、原作の言葉を自らに取り込もうとする。


そして監督自身のものになった言葉から、役者もまたインスパイアを受ける。


本作にしても、その原則は変わらない。


ただ不幸なのは、原作付き映画にもかかわらず、肝心の原作がプロットの形でしか存在しなかったことだ。


企画の性格上、やむをえなかったとはいえ、そのために映画を貫く言葉がぶれ、マイナス点を被った感は否めない。


今後もこの種の企画が続いていく以上、今回の反省は絶えず念頭においておく必要があるだろう。


が、その一方で、本作は他の二本よりある意味間口の広い、からっとした娯楽映画に仕上がった。


DVDもマニアックな需要ではなく、セル・レンタルともども消費されるタイプの作品として受け入れられていくに違いない。


それはそれで、ちょっと楽しい想像だったりする。


『戦国自衛隊1549』


脚本とは、映画を撮り進める上で不可欠な設計図のようなもの。


それゆえ、語弊を恐れずに言うなら、そこには指針は記されていても、物語を包括する言葉は記されていない。


役者はその設計図から役柄の人物像を推測し、演技プランを立ててゆくのだが、この際、重要になるのが監督の示唆であり、時に現場を止めてでも戦わされるディスカッションだ。


ここでこのキャラクターはなにを考え、こんな言い方、動き方をするのか。


監督は俳優が納得する形で指示を出し、意見が対立した時は説き伏せるなり方針を変えるなり、最終的な方向性を決定しなければならない。


やり方は現場によってさまざまだが、原作付き映画の場合はもうひとつ、原作そのものという別のディレクションも存在する。


迷った時には原作に帰る原作を原案程度に位置づける場合を除いて、原作は映画全体を包括する言葉として機能する。


『戦国自衛隊1549』


我々の世代が子供の頃、往年の角川映画に足を運んでいた構図が再現されたわけで、新生角川映画の露払い作品としては上々・・・と言うか、期せずしてぴたりとはまる結果に落ち着いた。


まずは一安心というところだが、実製作に携わった身としては反省点は多々ある。


先頃、ドラマの枝葉がばっさり刈り込まれたハリウッド編集版(北米で公開予定。


三十分近く短くなっている!)を観て、反省の念はますます強くなった。


ドラマを削ってもストーリーが繋がるということは、ドラマとストーリーの連動が不十分ということだ。


言い換えれば、描こうとしたドラマが描けていないということなのだが、これは監督のせいでも脚本家のせいでもない。


撮影時にはまだ原作小説が存在せず、プロットと脚本のみで映画を構築しなければならなかった、製作体制そのものに問題の根はある。

『戦国自衛隊1549』


女性層の動員が勝敗を決する昨今の映画興行に鑑み、本作では男臭いオリジナル版のイメージを払拭、「女性も楽しめる娯楽作品」をパブリシティの合い言葉にしてきたのだが、いざ蓋を開けてみれば、劇場に詰めかけたのは小学校高学年以上の子供たちだった。


親と一緒に『ボケモン』を観るのがそろそろ恥ずかしくなってくる年頃の彼らに、本作はオモチャ箱的な楽しさが詰まった、取っ付きやすい映画と映ったらしい。


鹿賀丈史のダース・ベイダー的なポスタービジュアルも含めて、『スタi・ウォーズ』の前座的な立ち位置で興行が推移したというのが宣伝部の見解だ。

若者はどうしてスピードを出したがるのか。


合宿免許で学んだことですが、ドライバーがスピードを出してしまう心理として、前項で述べた集団に収敏してしまうこととともに、もう一つ忘れてならないのが、人間の中にある潜在的な競争心だ。


これには、直接相手がいてそれに勝とうとする競争心と、面と向かった相手はいないが過去の記録などに挑戦する競争心の、二つの種類があります。


車でいえば、テストドライバーなどは後者に属するが、それ以外の一般の路上で沸き立ってくるのは、前者の競争心でしょう。


そしてこの競争心は、若者に強くあるようです。


それは、若者特有の見栄や自己顕示欲からくると思われます。



『戦国自衛隊1549』


今年の年頭から3月まで、すなわち『ローレライ』の公開がカウントダウンに入った3ヵ月間は、映画興行の実際を体で覚える学習期間だった。


初日2日間の売上げが大勢を決する興行の仕組み。


前売り券の伸びと公開後の伸びの相関性。


地方回りの大切さ。


紙媒体と電波媒体の性格の違い、効果の違い・・・。


以後、この時に学んだスキルを二本目以降に利用させてもらったのだが、それでも予想できないことの方が圧倒的に多い。


思ってもいない観客層が興収を支えてくれた『戦国自衛隊1549』は、わたしには映画興行の難しさを知る上で格好のテキストになった。

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